初級心理学講座2

講座*1* ロールシャッハ

その手はじめは、各ページの上に、蝶が乱舞するようなかたちで展
開されている図版である。これは｢ロールシャッハテスト｣で使われ
る図版をイメージ的に作り上げたものだ。

ロールシャッハテストとは、スイスの精神科医ロールシャッハが創
案したパーソナリティ検査で｢投影法｣(*3)と呼ばれるｂものの一種
である。本来、定められた左右対称の図版10枚(５枚が黒､２枚が赤
と黒､３枚が多色)を定まった順番で見せて連想を聞き出し、総合的
に被験者の特徴を診断するものだ。

この10枚の図版を全世界共通で使うことにより、膨大なデータと臨
床体験から研究が積み重ねられ、共通の知的財産としてまとめられ
ている。種々の精神障害の臨床的補助診断法として重要視されてい
るという。

この検査結果から、個々の疾患を特定することは難しいとされるが
神経症レベルのものか、精神病レベルのものかの判定、または器質
性疾患における特徴ある反応としての診断に役立っているという。

例えば、鬱病傾向の場合は反応時間が遅く、｢分からない｣という回
答拒否なども多くなる傾向にあり、また強迫神経症などの場合は反
応時間が早く、しかも画像の中の細部についてのイメージ喚起が多
かったりするものなのだというが素人には難しい判断だ。

＊3 投影法
曖昧な刺激に対してどのような反応を示すか、その反応によって深層心理を
探ろうとするもの。

[3]へ続く