夢幻花5

年遺伝子組み換え

バイオテクノロジーによる新たな植物形成には、その他にもさまざ
まな種類の手法がある。突然変異種の細胞を選んでその細胞を培養
で増やすこともある。また花粉だけから半数体と呼ばれる植物を作
り出すこともできる。では何故半数体などを作るのだろうか。

もともと遺伝子は２組で１セットなのだが、半数体はこれを１組し
か持たないものだ。こうした植物を作り出し、これをコルヒチンと
呼ばれる薬品を用いて元の２倍体にすることで、純系植物を作り出
すことが可能となるのだ。

さらに細胞融合によって、植物として遠い関係にあるものどうしを
かけあわせて雑種を作り出す技術もある。この細胞融合には電気が
用いられる。その方法とはこういうものだ。

細胞から細胞壁を取り除き、原形質膜をむき出しにした状態で浮遊
させておく。その状態の中へ交流電気通して全体の向きをそろえて
やる。すると原形質同士がプラスマイナスで引き合って密着し、パ
ールチェーンと呼ばれる数珠状の連なりを作るのだ。ここに直流放
電を行うと原形質膜の一部が壊れて細胞同士が融合するのだ。

では、先ほど記したホタルの遺伝子をタバコに組み込んだ遺伝子組
み換えとは、いったいどのように行われたのだろうか。それは極め
ておおざっぱにいってしまえばこういうことだ。目的とする遺伝子
をベクターと呼ばれる運び屋に担わせて、組み込まれる対称となる
細胞へと送り込むというものだ。

このベクターもプラスミドと呼ばれる一種のＤＮＡである。プラス
ミドとは、ある種のバクテリアが、染色体としての遺伝子以外に小
さなリング状で体内に持っているＤＮＡのことである。

このプラスミドは、入り込んだ生物の中で、その染色体の一部にな
ってしまう性質を持っている。この性質を利用したものが遺伝子組
み換えの基礎にある技術なのだ。

一説によれば、このプラスミドが細菌の生物感染よって生物の体内
に入り込むことで染色体に突然変異を起こし、進化が促進されてき
たのではないかともいわれている。この説を一歩進めて、生物はこ
のプラスミドによって、太古から自然の遺伝子組み換えを行ってき
たのではなないかとする大胆な説もある。百花繚乱の感がある進化
論だがこれもまた、その世界に花を添えるひとつの仮説である。

[6]へ続く