讃岐うどん

角が立つ話

｢知に働けば角が立つ、情に棹させば流される｣と記したのは
夏目漱石であった。著名な『草枕』の一節である。角が立て
ば、たしかに人間関係がぎくしゃくする。

ところがうどんは｢角｣が立つほどいいという。｢うどん関係｣
は角が立ってもぎくしゃくしないというような与太話ではな
い。打ち上げて鋭い包丁を入れ、鋭角に立った切り口が、茹
でた後もきりりと立っているものほど、美味しいうどんの証
だという話である。

讃岐うどんの世界では、池上瑠美子さんという名がよく知ら
れる。製麺所で角が立つような､美味いうどんを打って茹で､
その場で１玉70円という価格で供する。客は自分で､生醤油､
天麩羅、卵などを乗せ、それに見合った値段を缶に入れて食
す。その美味さと安さは驚くばかり。

一説によれば、この池上さんの供し方が、今の讃岐うどんブ
ームの基盤を作りあげたとされる。なんともいい話だ。美味
いものにかけた池上さんの情に、棹をさすものなどあらばこ
そ。今も人々を美味しさで喜ばせている。ここに角が立つ話
の余地はない。

[データ]
讃岐うどんめぐりツアーは高松観光の必須アイテム。
また讃岐うどん店の全国展開も首都圏をはじめとして広がる。
世はまさに讃岐うどんブームなのである。
名店を回る観光ツアーまである。
上の写真のように茹でたてうどんに薬味を乗せ生醤油をかけて食す。

｢池上｣は、高松市鶴市町1009 電話087-882-3263
｢山鹿｣では、１つの玉を時間差で茹でて、温冷２種の
ぶっかけを味わわせてくれる本格うどん店だ。
高松市内町6-20 電話087-821-7450

ついでに(^^ゞ高松･讃岐うどん行脚もご参照くださいm(_ _)m