メダカ宇宙へ4

宇宙メダカと人の未来に････

繰り返されるスペースシャトルでの宇宙実験には、宇宙メダカをは
じめとした｢宇宙と生命｣に関するさまざまな実験が行われている。
そして一方では、無重力空間でなければつくることのできな新たな
物質の可能性を求めた｢宇宙とマテリアル｣というテーマもある。

宇宙と生命というテーマでいえば、例えば30億の塩基対からなると
いわれるヒトの遺伝子解明にも無重力空間が役立つと考えられてい
る。ＤＮＡの分離に用いられる電気泳動分離が、熱と重力によって
起こる対流すなわち熱的撹乱から解放されると考えられるからだ。

宇宙とマテリアルというテーマでは、例えば、表面張力だけで収縮
する液体の性質を利用して無重力下で容易に真球が作れることに着
目した研究が進められている。そのひとつにこういうものがある。

直径25ミクロンにそろえられたガラスの真球に中性子線を当てると
球内のイットリウムがベータ線を放出する。25ミクロンの真球は赤
血球とほぼ同じ大きさでありガン患者の患部臓器に向かう血管に注
入すれば真球故に血管内で引っかかる心配がなく患部の毛細血管に
到達してとどまり、ベータ線放射でガン組織のみを破壊することが
可能になるという。真球はそのために作られるのだ。

宇宙メダカの成果は、こうしたさまざまな宇宙実験のひとつとして
大きな意義を持って行われ、その成果は次の宇宙開発に進むための
重要なデータ資産となった。宇宙メダカが元気に泳ぐ姿の向こうに
宇宙で暮らすヒトの明日が遠く垣間見えてはこないだろうか。

[データ] [宇宙メダカ･ホームページ]
｢宇宙実験最前線―ＤＮＡの突然変異から謎の対流の出現まで」
日本マイクログラビティ応用学会編／講談社ブルーバックス
｢宇宙メダカ実験のすべて」
井尻憲一著／非売品だが定額小為替、切手1000円を同封、もし
くは現金書留で申し込めば入手可能。
[請求先]〒113東京都文京区弥生2-11-16
東京大学アイソトープ総合センター　井尻憲一氏