イカロスの夢5

終わらない研究

ハーマン・メルヴィルの『白鯨』という小説の中に、海に挑む人々
を描いた一節がある。この一節を読むと、大空を翔るという人間に
は与えられなかった役割に敢えて挑戦し、これを成し遂げていった
数々の研究者達の姿が思い起こされてならない。そこで、最後にこ
の一節を紹介して本稿を終えようと思う。

｢また或るひとびとの霊の中には一羽のキャッツキル山の鷲がいて､
もっとも暗黒な深谷に躍りこむこともできれば、ふたたびその底か
ら高く飛び立って輝く大空に姿を没することもできる。そして、た
とい彼が永久に深谷の中を飛びまわっているとしても、その深谷は
高山の裡にあるのだから、山中の鷲がもっとも低く飛下したときで
さえも、平野にいる他の鳥が高飛したよりもなお高い所にいるので
ある｣ (ハーマン･メルヴィル著･田中西二郎訳･新潮社）

■このコラムは、｢いかにもイカの話｣と同様、とどの息子である、ことどとの共同執筆によ
るものです。といっても基本原稿は全部ことどが書き、とどは最終的な編集チェックを入れ
ただだけです。なんか思考方法も文体もよく似てますよね。本人いわく｢模写｣ですと(^o^)

[データ]
｢飛行機はどう進化するか｣｢飛行機はどう飛ぶか｣
(近藤次郎著／ブルーバックスb1133･B256／講談社）
｢気球の夢｣(喜多尾道冬著／朝日新聞社)
｢ライトスタッフ｣(WARNER HOME VIDEO)