言葉によるデッサン

言葉によるデッサン
2001/08/11

まずは、｢である調｣の次の文章を、読んでみてください(^^ゞ

銀座の街に立秋を過ぎた風が吹く。頬にあたる風の強さが涼しさを運
ぶ。その風とSaxの響きとが戯れる。絡まりあったまま､えもいわれぬ
刺激として皮膚を刺激し、胸の裡をくすぐり、身体をすっぽりと包み
込んでいく。いい気分だ。

銀座マリオン前の歩道。晴海通りを背にして中村健佐氏がSax演奏に
没頭している。背景の晴海通の向こう側にはニュートーキョのビルが
ある。彼のちょうど頭上あたりに、レモン色したロゴのネオンチュー
ブイルミネーションが、静かに夜に溶け込んでいる。

数寄屋橋高速を隔てた電通通り角に聳える不二家ビルの電飾が瞬きを
繰り返しながらニュートーキョーの白いガラス壁面に映っている。壁
面の歪みに光を沿わせながらうねって瞬いている。その電飾のうねっ
た瞬きとSaxのうねりが、時折シンクロする。音と色の饗宴だ。

マリオンビルに向かい、ストリート空間へ砕け散らすように紡ぎ出さ
れてくるSaxの音色。その響きが､日常を抱えつつ風景として彼の前を
通り過ぎる人々をするりと通り抜ける。背には晴海通りを行く車の疾
走。右手にはＪＲのガード。東京駅を出たばかりの新幹線がまだスピ
ードを上げぬまま通り過ぎていく。そうした音どもが雑音としてでは
なく。街の活きた音として彼のSaxと響きあい、そして溶け合う･･･。

････････････････････････････････

９日､木曜日に中村健佐さんのSaxを聴きに行きました。その時、彼の
演奏と街の喧噪がみごとに解け合う空気があって、頭の中に色々な言
葉が急にわき出しました(^^ゞそこで、思わずノートパソコンを取り
出し、目の前でいきなり言葉によるその風景デッサンを始めました。
けっこう乗って書いていたような気がします。気分は､Sax演奏と言葉
のジャムセッション!! ﾅﾝﾁｬｯﾃ(^o^)＼(^^ )

その文章を後で読み直してみると、ほとんど即興でわき出る言葉を紡
いだものですから、文章の体裁はぼろぼろ(^^ゞそこで上のような文
章に推敲してみたのです。推敲中は、自分の頭の中にある｢校閲機能｣
が働いているので、ちゃんとした文章になおしたつもりでした。

しかし読み返してみると、デッサンにあったときの勢いというか煌め
きというか、そういうものが薄らいで、厚化粧の文章に変わってしま
いました(^^ゞこれって、なんなんでしょうねぇ。

まあ、わき上がる言葉をスッキリと紡ぎ上げられない、とどの才能の
欠落は前提として認めますが、それにしても、厚化粧(^^ゞおそらく
これは｢詩文｣と｢散文｣の違いなのだろうという気がします。

わき上がる言葉を、詩として媒体にきちんと留め置き、記せる力。そ
ういうものにずいぶんと憧れてきました(^^ゞしかし、自分には散文
しか書けません。その｢散文｣も、あまり素直な文章ではなく、構えて
いてけっこう濃いですしねぇ～(^o^) まあ、いまさらないものをねだ
っても仕方ないので、諦めることにします＼(^^ )

それにしても、ののさんの詩文も散文も書き切れる力がｳﾗﾔﾏｼｲ(^^;